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谷本誠一・保護者へのアドバイス 1

将棋と人生

平成14年5月9日

 家内はピアノを教えていますが、ピアノ教室は呉に数10箇所はあると思います。しかし将棋教室は僅か私のところだけ1箇所。言わば独占企業となっています。しかし生徒はごく僅か。習っていても、中学に入学したとたん、部活や塾とかでやめてしまう子が多い。音楽は学業や学校の成績に反映できても、将棋は無関係だと思われるからでしょう。もう一つの理由は将棋は勝負がつきまとうため、白黒がはっきりしてしまいます。従って上達ぶりが目に見えて分かるよさがある反面、負けてばかりでは腐ってしまう傾向があります。以上の2点からなかなか長続きしません。またピアノや音楽なら、プロになれなくとも、将来生徒を指導すれば小遣い稼ぎや嫁入りの時の売りには役立つが、将棋ではプロ棋士になれない限り、人生においてしくじってしまう。特にピアノは女性が圧倒的に多いが、将棋は女性は皆無に近い状況なので、男だったら職業に活かせればよいが、その可能性たるや、極めて微少で、リスクがあまりに大きすぎます。ましてや奨励会に入会する人数は、東大に入学する人数に比べてもかなり狭き門となっています。

 しかし、ご心配なく。将棋はたとえプロになれなくとも(私のように?=自己正当化か?)それから得る人生の教訓は計り知れないものがあるからです。職業は人生そのものではなく、人生において人格を形成していく一手段でしかありません。趣味の範囲にとどまろうとも、天職として将棋をたしなもうが、それにより、人格を磨いていけるのではないでしょうか?

 人格形成には知(真理の探究)、情(感性の高揚)、意(善なる行動)の三作用を高めることと考えていますが、将棋はその3つの徳を磨くにはうってつけといえます。故加藤治郎九段(元日本将棋連盟名誉会長)は将棋を評して「難解な数学」と言い、故升田幸三実力制四代名人は「新手一生」を掲げ、将棋を「芸術」として捉えました。また故大山康晴15世名人は「勝負」の著作でも分かるように「負けない将棋」を心がけ、将棋を「勝負」として捉えました。これらはまさに各々将棋の一面性を凝縮して捉えたものと考えられます。「数学」は「知」の作用を通じて「真」を追求するものであり、「芸術」は「情」の作用を通じて「美」を追求するものであり、「勝負」は「意」の作用を通じて「善」を追及するものです。将棋はこれらの三要素をみごとバランスよく含んでいます。これら真美善を追求することは、まさに人格形成であり、人生の究極の目的とするものと考えています。

 以上のことからお子さまの「将棋熱」に対し、暖かく見守り、かつ自信を持って支援してやっていただけたらと思います。

 今回はちょっとキザだったかな?